こんにちは、まるおです。
家でワンちゃんをなでなでしていると、、、
おっぱいの付近に硬いしこりが触れる!?
なんていうことを体験した方も少なくないと思います。
その領域のしこりで一番可能性の高い乳腺腫瘍について今回は書いています!
乳腺腫瘍とは?
犬には左右5対の乳腺という組織があります。
乳腺腫瘍とは、その乳腺組織が腫瘍化したものになります。
犬の腫瘍の中でも最も発生する確率の高い腫瘍の一つですので、身近にいるワンちゃんが罹患したなどということも多いかと思います。
この乳腺腫瘍にも良性、悪性の2つがあり、悪性の物を『乳がん』と言います。
確率的には、犬の場合、良性50%、悪性50%と言われています。
実際に、多くの乳腺腫瘍の犬を見ていると、良性の場合の方が多いという印象ですけどね。
また、悪性の中でも転移しにくく手術で根治を望めるものが50%程度存在するようです。
つまり、約75%は手術で根治を望めますが、約25%は手術で根治は望めないというわけです。
原因
現在のところ、女性ホルモンの影響で乳腺の細胞が遺伝子変異を起こし、腫瘍化すると考えられています。
そのため、避妊手術により乳腺腫瘍の発生率を下げることができると考えられています。
この避妊手術による乳腺腫瘍の発生予防は、時期が重要です!
初回発情前に避妊手術することで、発生率を約0.5-1%に抑えることが期待されています。
(※ただし、200頭に1頭は起こりうるので、避妊手術をしても発生する事はあります、、)
徐々に、予防効果は低くなりますが、2回目の発情までは予防効果は期待できると考えられているので、もし避妊手術を考えている場合は、なるべくそこまでに手術できると良いと思います!
ちなみに、著者も当時その知識がなく、愛犬の避妊手術をしないで過ごしていましたが、3歳くらいの時に乳腺腫瘍を患いました。
結果的には、良性で、外科手術単独で根治できたので、現在も元気に生活しております。
症状
乳腺周囲にしこりを感じる
など以外は、乳腺腫瘍に特有の症状はありません。
ただし、悪性で肺転移して呼吸が苦しそうや、腫瘍自体が大きくなり皮膚炎を起こしたり、化膿して痛がるなどはありますが、、
日常生活において、特長的な症状というものはありません。
なので、日々お乳周囲を触った際に硬いしこりを感じたら動物病院で診察を受けましょう!
検査
最終的な良性or悪性の診断は、手術で摘出したしこりを病理検査に出して診断します。
しかし、手術前に様々な情報から推測をしていく事は可能です。
大きさ
小さいものほど良性の可能性は高いと言われています。
3cm以上になると悪性の可能性も考えられます。
腫瘍の成長速度
より短期間で大きくなるものほど悪性の傾向があります。
なので、いつから気づいたかも重要な情報なので獣医さんに伝えましょう。
細胞診
針を刺して、発生しているしこりの細胞を調べます。
この検査は、確定診断を得るものではありません。
しこりが腫瘍性or炎症性の変化であるのか、
また全く異なる腫瘍が乳腺組織周囲に発生したものか、
などチェックします。
レントゲン検査
悪性のものは肺転移を起こすことがあるので、胸のレントゲンを撮影して肺転移の有無を確認します。
リンパ節のチェック
悪性の場合はリンパ節に転移がある可能性があります。
触診や超音波検査でリンパ節が腫れていないかをチェックします。
場合によっては、リンパ節に針を刺し細胞をチェックしたりしますが、診断精度は不十分なことが多いので、手術の際に同時に摘出し、病理検査で最終的な判断を行います。
いずれの検査も、これのみで良性、悪性をジャッジするものでは無いので、あくまで病理検査の結果を待つことになります!
治療
転移が認められない場合は、基本的に外科手術による腫瘍自体の切除が第一選択です。
病理検査の結果、悪性腫瘍という判断になれば、抗がん剤治療や放射線治療が検討されるので獣医さんと相談しましょう!
手術前に、既に転移が認めらている場合も同様に抗がん治療や放射線治療の検討となるので、相談しましょう。
しかし、転移が認められている子でも、腫瘍自体が痛みを伴ったり、感染の原因になっている場合には根治ではなく緩和的な目的で手術を行うこともあるので、よく相談しましょう!
再発の可能性
乳腺組織は、犬は左右に5対存在するので、腫瘍摘出後にも残った乳腺組織から再発する事はあります。
手術と同時に避妊手術する事により、残った乳腺組織からの腫瘍の発生率がわずかに減少するということも言われています。
手術方式
腫瘍の周囲のみをくり抜いて切除するものや、一部正常な乳腺組織も含んで切除、片側もしくは両側の乳腺組織全て切除する場合など様々あります。
それぞれメリット、デメリットありますが、術前検査の悪性所見などから獣医さんとよく相談して決めましょう!
手術してはダメなものもある?
炎症性乳がんと言って、とても悪性度が高いものが存在します。
この場合、手術後に傷が治りにくいことや、すぐに再発をしたりと手術のメリットが少ないため手術を控えることがあります。
しかし、絶対に手術しないというわけではありません。
皮膚が自壊したり本人の生活の質を改善するという目的で、小さな腫瘍であれば手術を行うこともあります。
残念ですが、悪性度が強いものですので治療の目的は根治ではなく痛みのケアなどの生活の改善ということになります。
まとめ
犬の腫瘍で比較的多く遭遇する乳腺腫瘍ですが、約75%は手術で根治を狙えるものなので、乳腺周囲にしこりを感じたら、まずは動物病院で相談しましょうね!
ちなみに猫にも乳腺腫瘍は発生します。
しかし、猫の場合は約90%程度は悪性とも言われており、犬とは異なるので注意してくださいね!
最後に、、
乳腺腫瘍摘出の際に、一緒に避妊手術するべき?ってよく聞かれるので、個人的な意見を少々。
まず、メリットとしては、
避妊済みの場合、切除後の再発率が、わずかに下がることが示唆されているということも最近言われております。
また、子宮蓄膿症や卵巣自体の腫瘍などの病気が今後なくなるということも大きなメリットになります。
デメリットとして
手術時間が増えることがあげられます。
これには、手術を受ける子の状態が大切になります。
例えば、心臓が悪くて麻酔時間をあまりかけれない、や既に転移を認めており長期の生存が期待できないなどあれば、選択すべきでは無いと思います。
なので、担当の獣医さんと総合的に判断するのが良いと思いますが、可能な状態であれば行える状態であれば避妊手術も同時に行う方が良いと思っています。
では!
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